最近、社員からこんな相談を受けました。
「オーナーチェンジ物件を売却する際、立退きが必要になった場合、不動産会社としてどこまで関わってよいのでしょうか?」
実務では時々出てくるテーマですが、対応を誤ると大きなトラブルや法的リスクにつながるため、慎重に考える必要があります。
実際にその社員が受けている相談は、大野城市の団地の物件を所有されているオーナー様からの売却相談でした。
現在その物件には賃借人が入居しており、いわゆるオーナーチェンジ物件として売却するか、それとも空家にして売却するかを検討されているとのことでした。
一般的に、一戸建てやマンションなどの実需向け物件を売却する場合、オーナーチェンジ物件よりも空家の物件の方が価格が高くなりやすい傾向があります。
その理由は、購入する方の目的が変わるからです。
オーナーチェンジ物件の場合は投資用物件として検討する方が中心になりますが、空家の場合は「自分で住む住宅」として購入を検討する方も対象になります。
つまり、購入者の層が広がるため、結果として価格が高くなりやすいのです。

実際の現場では、オーナーチェンジ物件と空家では価格が変わるケースも少なくありません。
例えば、大野城市周辺の団地タイプのマンションを例にすると、
【オーナーチェンジ物件の場合】
・家賃:5万円
・表面利回り:10%
・販売価格:約600万円
というケースがあったとします。
この物件を空家にして実需向け物件として販売した場合、
【実需物件としての価格】
・販売価格:約900万円〜1,000万円
というように、300万円〜400万円程度価格が変わることもあります。
もちろんこれは物件の立地や築年数、間取りなどによって変わりますが、実務ではこのように
オーナーチェンジ物件より空家の方が高く売れるケースが多いのは事実です。
そのため、オーナー様としては「賃借人に退去してもらい、空家にしてから売却したい」
と考えることも多いのです。
しかし、ここで問題になるのが賃借人との立退き交渉を誰が行うのかという点になります。

まず大前提として、賃借人は借地借家法によって非常に強く保護されています。
駐車場の契約などとは違い、住宅の場合はオーナーが一方的に通知を出しただけで退去してもらうことは基本的にできません。
そしてもう一つの問題が、売却を相談された仲介会社が立退き交渉に関わってよいのかという点です。
結論から言うと、この点については非常にグレーな部分が多く、仲介会社が積極的に関与することは難しいケースが多いと言えます。
例えば、その物件を管理させていただいており、オーナー様の代理として入居者とやり取りをすること自体は実務上行われていることもあります。
しかし、厳密に言えば
・立退き料
・退去条件
・退去期限
などの条件交渉を行うと、弁護士法上の「非弁行為」に該当する可能性があるため注意が必要です。
最近では、退職代行会社の代表者が逮捕されたというニュースがありましたが、これも「本来その資格を持つ者しか行えない業務」を行ったことが問題となった事例です。
不動産会社においても同様で、仲介業者という立場を超えた業務を行うことは、違法行為と判断される可能性があります。例えば、税務の細かい計算を行い「税金はいくらになります」と断定的に伝えることなども、本来は税理士の専門分野になります。
立退き問題に関して実務的には
① オーナー様ご自身で賃借人と交渉する
② 弁護士に依頼する
この2つの方法になるケースが多いと思います。
弊社のような仲介会社として出来ることは、
・オーナー様が交渉を行う際の助言や進め方のサポート
・このような案件に強い弁護士のご紹介
などになります。
仲介業者の中には「立退き交渉も対応します」と言う会社があるという話を耳にすることもありますが、内容によっては法律上問題となる可能性がありますので注意が必要です。

不動産の売却は、契約内容や入居状況などによって進め方が大きく変わります。
特にオーナーチェンジ物件の場合は、一般の売却とは異なるポイントも多いため、状況に応じた適切な判断が重要になります。
弊社では、オーナーチェンジ物件の売却についても数多くのご相談をいただいております。
「このまま売るべきか」「空家にした方が良いのか」など、それぞれの状況に応じて最適なご提案をさせていただきます。
不動産に関するお悩みがございましたら、どうぞお気軽にご相談ください。