
長旅の始まり
今回の旅は首都ローマを拠点に、南イタリアを巡るツアー。青の洞窟、ナポリ、アルベロベッロなど、世界遺産を中心に訪れる内容でした。
福岡からイタリアへは直行便がないため、まず新幹線で関西国際空港へ。そこからドバイ経由でローマに向かいました。乗り継ぎ時間を含めると、合計29時間もの大移動。日本から遠く離れたヨーロッパの地に到着した時は、心地よい疲労と同時に「ついに来た!」という高揚感でいっぱいでした。
初日の夕食と「フェッラゴスト」
ローマ到着後、まずはイタリアの中核駅・テルミニ駅周辺を散策。
石畳の街並み、歴史を感じる建物の数々に、到着早々からイタリアらしい空気を存分に味わいました。
夕食は事前にチェックしていた人気レストランへ向かいましたが、残念ながら閉店中。理由は「フェッラゴスト(Ferragosto)」という祝日でした。日本のお盆のようなもので、多くの人がバカンスに出かけ、街中の店も休業。Googleマップでは営業中と出ていたのに、実際は休みというのも日本ではあまりない経験でした。
仕方なく入った目の前のレストランが、思いがけず大当たり!
陽気な店員さんの笑顔に迎えられ、拙い英語でも丁寧に対応してくれて、一気に安心感が広がりました。料理もどれも美味しく、疲れを癒やしてくれる最高の食事となりました。偶然の出会いが旅の楽しさをさらに引き立ててくれた瞬間でした。
驚いた文化の違い
旅の中で強く印象に残ったのは「トイレ事情」。
■便座がないトイレ
多くの施設で便座が外されており、清掃を効率的に行うためだそうです。日本の清潔なトイレに慣れていると、最初はかなり戸惑いました。
■ビデ文化
日本のウォシュレットはありませんが、代わりに専用のビデが標準的に設置されています。
■有料トイレ
公共トイレは基本的に1ユーロ前後の有料。維持費をまかなう仕組みです。
また、イタリアには日本のようなコンビニは存在せず、魚は魚屋、肉は肉屋、タバコはタバコ屋といった専門店で買い物をするスタイル。日本の昭和を思わせる生活文化が今も息づいているのが興味深く、「便利さと効率」の日本との違いを実感しました。
名所巡りと船上の出会い
翌日からはバスツアーに参加。ローマ市内観光では、サンピエトロ広場や大聖堂、トレビの泉、スペイン広場、コロッセオ、パンテオンを巡りました。
テレビや写真で何度も見てきた場所でしたが、実際に目にするとスケールの大きさに圧倒されます。特にトレビの泉は人だかりで“コインを後ろ向きに投げるお決まりの儀式”は断念しましたが、それでもその場に居るだけで感動的な光景でした。

コロッセオは時間予約制のため中には入れませんでしたが、外観だけでも十分な迫力。この建物が約2000年前に作られたと思うと改めて古代ローマ文明の偉大さを感じました。

さらにナポリやポンペイ遺跡、カプリ島の青の洞窟、洞窟住居が残るマテーラ、白いとんがり屋根が可愛いアルベロベッロ、そして断崖絶壁の街並みが美しいアマルフィと、映画や絵画に描かれるような夢のような名所を次々と訪問。
まさに「南イタリアの贅沢詰め合わせツアー」でした。


その中でも忘れられないのが、カプリ島へ向かう船での出会いです。満席で隣に座ったナポリ出身の兄弟と会話を交わすことになりました。片言の英語とGoogle翻訳アプリを駆使しながら、日本文化やアニメの話題で大盛り上がり。
妹さんは『千と千尋の神隠し』『七つの大罪』『鋼の錬金術師』が大好きとのこと。改めて日本のアニメ文化の影響力を感じました。
さらに「とある国についてどう思う?」という予想外の質問も。私が日本で流れるニュースを伝えましたが、彼らはほとんどそのニュースの内容を知らず驚いていました。異文化交流を通じて、自分たちの常識が世界共通ではないことを実感した瞬間でした。わずか40分ほどの船旅でしたが、忘れられない思い出となりました。
旅で学んだこと
1.先入観にとらわれない大切さ
出発前は「イタリア人=陽気で軽い」という先入観がありましたが、実際は思いやりにあふれ、人との関わりを大切にする人が多いと知りました。
2・食文化の豊かさ
イタリア料理は美味しい反面、味付けは塩分が濃く、ワインと一緒に楽しむ文化が背景にあるようです。日本は和食だけでなく各国料理を手軽に楽しめる環境にあり、その多様性は世界に誇れる強みだと再認識しました。
3.治安と現実感覚
ローマ中心部は比較的安心でしたが、テルミニ駅周辺やナポリではゴミが散乱しており治安が少々不安な現状が垣間見えました。またタクシー料金やサービスもまちまちで、海外では自己防衛と事前準備が不可欠だと学びました。
4.語学力の重要性
片言やアプリを利用して意思疎通は可能ですが、より深い交流には語学力が不可欠。語学こそが視野と世界を広げるカギだと痛感しました。

まとめ
今回のイタリア旅行は、
●先入観にとらわれず相手を理解する姿勢
●日本文化や食の豊かさを誇りに思う気持ち
●世界で生きるための現実感覚と語学力の大切さ
これらを改めて学ぶ貴重な機会となりました。
単なる旅行の思い出にとどまらず、異文化に触れることで自分や日本を見つめ直す体験になったと思います。
次はどこへ行けるでしょうか。また新しい旅の機会があれば、その際は改めてご報告したいと思います。
余談:イタリアの物価
スーパーの相場は日本とそれほど変わりませんが、ローマ市内や観光地の飲食店は全体的に割高。円安の影響もあり、食事代は大人4人+子ども1人で毎回100〜150ユーロ(約17,000〜25,500円)。決して高級料理ではなく、普通のピザやパスタでこの金額ですから、レシートを見るたびに胃が痛くなりました(笑)。
特に衝撃だったのは、カプリ島で頼んだ「シーバスのレモン煮」。日替わりメニューで値段の表記がなく、軽い気持ちで注文したところ、レシートには69ユーロ(約11,700円)の文字!思わず目を疑いましたが、これも旅の思い出のひとつになりました。
